なぜこの人は一人で歩けないのか?

何をもってこの人は自分で安全に歩くことができると言えるのか。

 

職業柄、この問いはよく考えることがある。

 

入院してる患者さんはできれば自分でトイレに一人で行きたいという。

そりゃそうだ。

いちいち人を呼ぶなんて煩わしくてたまらない。

でも転倒の危険性が高ければそれはOKできない。

勝手に歩けば(歩ければ)看護師に怒られる。

認知機能の低下などで決まりを理解できない人や

自分が歩けないことを忘れてしまう人には

センサーマットなどを使って対応する。

 

よく漫画とかで足の悪い患者が

勝手に歩く練習して転倒して

「クソ!!」みたいなシーンあるけど

あれってあのあと病棟の看護師が転倒したことによる

書類書かされてるからね。

勝手に歩いて転んだら迷惑かかるから駄目よ。

なにより危ないし。

 

でもリハスタッフとしてはやっぱりできれば

自分一人で病院内を歩いてOKになってほしい。

それができればリハビリの時間以外での歩行時間が増えるし

患者さんのストレスも軽減するし。

できることは増えるし。

 

「この人は一人で歩いても大丈夫か」

 

まずは認知面。

実際に歩ける能力はあっても危険認識ができなく

病院内で迷ってしまったり階段など危険な場所にも

平気で乗り込んでいく人は、歩行が見守りレベルとなる場合がある。

 

あとはやはり転倒しないかどうか。

これの判断よ。

BBSというバランステストがある。

このテストで56点満点中46点以上取れれば

屋内歩行は自立可能という目安になる。

他にも同じようにバランステストがあって

それにおけるカットオフ値があるから

それを参考にする場合がある。

 

実際に歩行してもらってそもそもふらつくのか。

前から来た人を避けようとした時や

ちょっとした段差を超えるとき。

特に高齢者の方は、敷居の縁は踏まないようにする場合が多いので

その時に大股になってふらつくとかよくある。

 

個人的に大事だと思っているのは

ふらついた時に持ち直せるか。

転びそうな時にステップがでて耐えられるか。

何かに掴まるなどの反応速度はどうか。

 

厳密には歩行器などの補助具を使うことが多いから

わりとすぐ自立とすることもあるんだけど。

 

患者さんはすぐにでも自立で動きたい。

なんとなく危なっかしいから介助必要と設定しようでは

患者さんに申し訳ない。

 

まぁ正直「なんとなく危なそう」という感覚も

結構当てになることあるんだけどね。